山形国際ドキュメンタリー映画祭について
山形国際ドキュメンタリー映画祭について
地域に根ざした映画文化が脈々と受け継がれてきた山形。1989年10月、山形市誕生100年記念事業として、第1回山形国際ドキュメンタリー映画祭が開催されました。当時上山を拠点にドキュメンタリー映画制作を続けていた故小川紳介監督(1935-1992)が、この準備段階から深く関わり、氏の呼びかけに応えた県内各地の有志が映画祭の運営に参加しました。こうした市民の積極的な活動は、行政と市民が力を合わせて成功を目指す、山形映画祭の土台となりました。また、天安門事件やベルリンの壁崩壊が起きた1989年生まれのこの映画祭は、はからずも冷戦終結以降の激動の世界を映し出すスクリーンであり続けてきました。その足跡は、映像芸術の発展だけでなく、地域研究など学術分野においても年々重要度を増しています。
上映プログラム
<コンペティション部門>
○インターナショナル・コンペティション
全世界から応募された1,000本を超える作品の中から珠玉の15作品を選び上映。映画祭期間中に著名な国際審査員によって審査され、大賞のロバート&フランシス・フラハティ賞他各賞が決まります。セレクションに定評のあるこのメインプログラムは、いまや中国を代表する映画作家となった王兵(ワン・ビン)、カンヌなど世界三大映画祭でも常連となったアピチャッポン・ウィーラセタクンを始めとして、ペドロ・コスタ、リティー・パン、アナンド・パトワルダン、アヴィ・モグラビなど、先鋭的な作家・作品をいち早く紹介する部門として評価が高く、ヤマガタの顔となっています。
○アジア千波万波
アジアの新進ドキュメンタリー作家の作品を紹介、応援するプログラム。最も将来を期待される作家に、アジア作家との交流に情熱を傾けた小川紳介監督の精神を受け継いで設立した小川紳介賞を授与します。世界でのアジア作家の台頭著しい昨今ですが、フレッシュで野心的な作品を長年紹介し続けてきたこの部門にはファンも多いようです。河瀨直美、ヤン・ヨンヒといった作家たちがこの部門から世界に羽ばたきました。
<その他多彩な特集プログラム>
日本の最新の秀作を紹介するプログラムや、注目作家の特集レトロスペクティブ、地域・国に特化したプログラム、山形にまつわる映画・映画人を紹介する「やまがたと映画」、そして東日本大震災に関する映画を上映する「ともにある Cinema with Us」など、古今東西の映画文化を紹介するバラエティ豊かな特集上映やトークイベントを企画しています。
山形国際ドキュメンタリー映画祭については公式ホームページをご覧ください。
受賞歴
1998年2月 日本映画ペンクラブ賞
2001年11月 第25回 山路ふみ子文化賞
2005年1月 第54回 河北文化賞
2006年10月 国際交流基金国際交流奨励賞・文化芸術交流賞
2007年8月 サントリー地域文化賞
2008年3月 第25回 NHK東北ふるさと賞
2011年7月 第29回 川喜多賞
2012年3月 第9回 シネマ夢倶楽部賞
2013年2月 第3回 地域再生大賞・準大賞